宇宙の無重力状態で、筋肉はどのように変化するか?
これは、骨もそうでしたが、重力が働かないので筋肉が必要とされません。
ということで、次第に衰えていきます。六ヶ月間宇宙空間に滞在した宇宙飛行士で調べたとこ
ろ、平均で毎週0.5~1%の筋肉量が失われていました。これは、骨でもそうであったように、
地上にいるときの一年間での変化に相当します。
物をもちあげたり、ひっぱったりする筋力が弱くなって、筋肉内のタンパク質は壊されてしまいま
す。
それだけなら、宇宙から帰ったとき、または宇宙滞在中にトレーニングをして筋力を維持すること
はできます。
それ以外に、もっとも重要な問題がおこります。
無重力状態では、筋肉は衰えていきます。筋肉量はもちろん、収縮力や持久力が低下し、その
結果筋肉の代謝がさがり、作り出すエネルギー量が減ります。
通常、筋肉は収縮力を保つのに、酸素をつかってブドウ糖をエネルギーに変えたり、余剰のブド
ウ糖を貯蔵するためにグリコーゲンという物質をつくって筋肉内にエネルギーを溜めるというサ
イクルがおこります。
つまり、筋肉が衰えているので、その体内での一連のサイクルを失います。
そうすると筋肉は脂肪酸をエネルギーとして使うようになります。これはすごく、効率がわるく筋
肉が疲労しやすくなります。
その結果、体を動かさないのと同じ結果となり、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、うつ病など、日常
生活に大きく変化を及ぼす原因となります。