電離圏を探る目
NICTイオノゾンデは、国立情報通信技術研究所(NICT)が運用する電離圏観測システムです。電離層は、太陽からの電磁波によって大気が電離された領域で、短波通信やGPS衛星信号の伝搬に影響を与えます。イオノゾンデは、短波電波を上空に向けて送信し、反射された電波を解析することで、電離層の電子密度分布を測定することができます。
観測データ
NICTイオノゾンデは、日本国内4カ所(稚内、国分寺、山川、大宜味)と南極昭和基地で運用されており、各局で15分ごとに観測を実施しています。観測データは、リアルタイムで公開されており、誰でも自由に閲覧・利用することができます。
データの利用
NICTイオノゾンデの観測データは、様々な分野で利用されています。主な利用例は以下の通りです。
- 短波通信の伝搬予測:短波通信の伝搬特性は、電離層の状態によって大きく左右されます。イオノゾンデの観測データを用いることで、短波通信の伝搬状態を予測し、通信の品質向上や安定化に役立てることができます。
- GPS衛星信号の補正:GPS衛星信号は、電離層を通過する際に屈折するため、位置誤差が生じることがあります。イオノゾンデの観測データを用いることで、電離層による位置誤差を補正し、GPS測位精度を向上させることができます。
- 電離圏研究:イオノゾンデの観測データは、電離圏の構造や変動を研究するのに役立ちます。太陽活動や宇宙天気の影響を電離圏に与えるメカニズムを解明し、電離圏環境の予測精度向上に貢献することができます。
NICTイオノゾンデウェブサイト
NICTイオノゾンデの詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
NICTイオノゾンデは、電離圏の状況をリアルタイムで監視し、様々な分野で利用されている重要な観測システムです。今後も、イオノゾンデの観測データの利活用が促進され、電離圏研究の発展や社会への貢献が期待されます。