地球から最も遠いところにある人工物「ボイジャー1号」
ボイジャー計画はNASAの探査ミッションで、太陽系の中でも地球より外側にある外惑星と太陽系外の探査を行うものです。
1977年9月5日にフロリダのケネディースペースセンターから打ち上げられ2012年8月25日に太陽系を脱出しています。すでに46年以上経過していて、電力確保には太陽光パネルではなく、原子力電池による発電を採用しています。ボイジャーの運用期間は当初予定されていた期間を超えて運用されていて、それはこの原子力電池の寿命が思いのほか延びているという点にあります。当初470W程度の電力を確保できていましたが、現在では半分程度の電力に落ちているため、節電のために一部の機能は停止させているようです。
ボイジャー1号は今どこにいる?
2024年4月現在もボイジャー1号はミッションを続けています。現在、時速60,963km/hのスピードで太陽系外の星間空間に居て、地球からおよそ243億km(162AU)離れた場所を飛行しています。
姉妹機ボイジャー2号はどこにいる?
ボイジャー2号は、NASAが木星、土星、天王星、海王星の探査を目的として打ち上げたもので、ボイジャー1号よりも16日前の1977年8月20日に打ち上げられました。
ボイジャー1号よりも遠回りの軌道にのせられたため、1号が1979年3月5日に木星に最接近したのに対して先に打ちあがった2号は4か月後の1979年7月9日に最接近しました。その後、1981年8月25日に土星に、1986年1月24日に天王星に、1989年8月25日には海王星に最接近しました。
海王星の探査終了に伴い、惑星探査のミッションは終了するも、その後はボイジャー1号同様に星間空間ミッションに切り替わり、現在でも運用が続けられています。
2024年4月現在、地球からおよそ192億km(136AU)の位置を時速およそ55000km/hで飛行しています。
太陽系の縁はどのようになっているのか?
太陽系の縁はどのようになっているのでしょうか。下の図は一番左の太陽から右の方に向かって太陽系の縁に向かいます。海王星(Neptune)までが太陽系の惑星ですが、太陽から噴き出している「太陽風」の影響が及ぶ範囲をヘリオスフィア(Heliosphere)といい、その外側には恒星間ガスであります。このガスと太陽風の流れが衝突しているエリアを末端衝撃波面(Termination shock)と呼び、その境目をヘリオポーズ(Helippause)といい太陽圏界面となっています。そしてその外側には恒星間ガスが満たされている星間空間があります。さらにその外側には「オールトの雲」とよばれる天体軍があり、ここをボイジャーが超えるには6万年以上かかると言われています。
地球外生命体へのメッセージ
今現在も原子力電池の寿命が尽きず、飛行を続きそのデータを地球に送り続けているボイジャー1号、2号ですが、もう1つのミッションとして、地球外の知的生命体や高度な文明に遭遇した際に、それらがボイジャーを回収した際に、地球に文明がある証としての情報を収めたレコードが搭載されています。
ここには、地球上の55言語によるメッセージや風、雷、波などの地球上の自然環境の音、動物の鳴き声、地球上の様々な民族の音楽などが収録されています。ちなみに日本からは尺八で演奏された「鶴の巣籠」という曲が収録されているようです。
この情報を手にする知的生命体が現れたとき、生命体同士はどのような行動にうつるのでしょう。人類の情報を載せたボイジャーは今日も飛行を続けています。